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種田英昭の写真展見てある記 フォトコンテスト 1997年1月号
神達勝之写真展 「ぶらり瀬戸内」 東京・ミノルタフォトスペース新宿 1996年11月12日〜25日
「備前、備中、備後、瀬戸内一帯晴れの国である」と、岡山の御津町に住む神達(かんだつ)さんは青空が広がる日はいつも、カメラを手にぶらり出かけては何気ない出会いとふれあいの中で撮り歩いてきた。これはそうした瀬戸内のフォトスケッチである。晴れた街の光景は光と影が交錯し、見慣れた街の風景が別世界に変わるときがシャッターチャンスなのだ。
空はあくまでも青く澄んで、時には筆で書いたような雲が流れるが、カメラはしばしば真っ赤な屋根や黄色く塗られた壁の家、解体工事現場の青いテントなどに向けられる。コンクリート塀の内側の光に陰って咲く花は白と赤である。そうかと思えば、舗道には木の影が落ちて、街のメインストリートを歩く人の影の色も濃い。
西日の当たる通りのスナック、物干し台のふとんがピンク色で、不思議に瀬戸内の点景のような生活の情感をものぞかせていたりす る。アーケードのある商店街では屋根のあたりからのスポットライトを浴びて、娘さんと散歩の犬が何か舞台を通りすぎているような情景である。通りの人込みで、白装束の神主さんが御幣を捧げている。神達さんの瀬戸内は色彩が豊富である。
そういえば、この写真展に添えられた横文字のタイトルが「Sketches in Color Seto Inland Sea」だった。尾道から因島に向かうフェリーボートが西日に追っかけられるように出航していくところで、瀬戸内の海がわずかに姿を見せている。「そんな瀬戸内の情景たち」と、神達さんの思いが込められるが、その空は青く冴えわたっている。
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